「薬食同源(医食同源)」を考える。東洋医学における”食”の大切さ
突然ですが、「くすり」と聞いてみなさんはどういったものを何を思い浮かべますか?
たいていの方は錠剤や粉薬、カプセルあたりを最初に思い浮かべるかと思います。
さらに考えていくと、座薬や湿布、軟膏、注射……、そして、漢方薬…。
もちろん、これらはすべて「くすり」で間違いありません。
しかしこれらは西洋医学的な「くすり」の捉え方。
つまり「くすり=物質」であり、手で扱えるもの。
誰にでも同じように効くように作られたものを主に指していて、比較的はっきりとその輪郭を捉えています。
一方、東洋医学ではもっとおおらかに「くすり」というものを捉えています。
最初に挙げたような、いわゆる西洋医学的な薬だけではなく、普段口にしている食べ物や水、さらには空気も場合によっては「くすり」となり得ます。
薬と食べ物の境界もあいまいなのです。
そもそも、東洋医学とは”食”を重視した医学。
周時代には官職として『食医』という位が設けられ、医師のランクの中では内科や外科を抑えて最高位となっているほどでした。
そしてまた、古くから中国では「薬食同源」と呼ばれる思想、つまり『「くすり」も「食べ物」も根源は同じである』、という考えがあります。
正しい食事は病気を予防し、さらには、すでに発症した病気をも治す力があるのです。
ちなみに日本では、「薬食同源」から転じて「医食同源」という言葉が同じような意味で使われています。
大辞林 第三版の解説
いしょくどうげん【医食同源】
病気の治療も普段の食事も、ともに人間の生命を養い健康を維持するためのもので、その源は同じであるとする考え方。
正しい”食”とは、バランスの良い食事はもちろんのこと、個々の体質、さらにはそのときの季節までもを考える必要があります。
そしてそれらの考えをふんだんに取り入れ、かつ繊細に仕上げたものが「薬膳」なのです。